95年生まれが出会ったインターネットたち
はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」
おはようございます、霧涼アリカです。
タイトル通り、私は1995年生まれ。出生した時は既に世にインターネットが存在していた、身体の成長と共にネットに触れていた人間です。
初めて触ったのは2001年頃、親が買ったWindows XP。ダイヤルアップ接続の音は、子供ながらに底しれぬ恐怖と、同時に興奮を感じました。
さて今回の公募は文学がキーワード。ネット初期の思い出では、おもしろフラッシュ倉庫が真っ先に出てくる私ですが、ここはチャットを振り返ろうかと。
今でこそLINEなどでリアルタイムに文章を送受信できる環境がありますが、最初に私が触れたのは『更新』ボタンを連打しないと相手の文章が送られてこないもの。
ネットが家に最初に入ったのは小学校低学年の頃ですが、引っ越しをしてから回線は消滅。ガッツリと触れたのは中学生になってからです。
ただそれはパソコンで、ではありません。
PSP、当時の学生にとってのマイ・フェイバリット・アイテムでネットに触れました。
知らない方もいるでしょうが、PSPというポータブルゲーム機は異様に多くの機能が搭載されていました。画像の保存から音楽、動画再生、そしてネットの閲覧。
今となってはどうやって当時見ていたサイトを調べるのかさえ見当が付きませんが、私はとあるPSPユーザーが集うページに入り浸っていました。
確か、簡単にホームページが作れる方法があり、それで作ったサイトのチャット部屋にいたのです。おそらく中学生だった私と同じ年代の、名前も知らない相手と。
管理人と仲良くなって裏ページへのパスワードを教えてもらったり、当時大流行中のニコニコ動画の動画を転載して見たり、地方によって違うゲーム文化に驚いたり。
無料Wi-Fiに接続しながら、読み込みを短時間で済ませる為にあえて更新途中で✗ボタンを押して簡易表示にしたのも良い思い出。
もう消えたか、埋もれてしまって見ることの出来ない場所ですが、懐かしい記憶です。
それからしばらく経ち、本腰を入れてネットに埋没し始めたのは高校生の頃。
ついに家にネット回線が入りました。
そしてその頃の触れたチャット文化は、ネットゲーム内でのものです。
その頃は韓国製のネットゲームが爆発的に増えており、私はその中の一つを始めました。名前はもう知らない、割とすぐサービス終了したゲームです。
『ユーザーが2つの国に分かれて戦う』といった内容でしたが、βテストだったそのゲーム、なんと様々なシステムの悪用で無理矢理に敵国へと攻め入る事が可能でした。
情報の交換はもちろんゲーム内でのチャット。俗に言う全体チャットで話し合いを進めました。
全体チャットの使用はゲーム内通貨が必要で、私はずっと全チャに入り浸っていたので万年金欠。そんな中で齎された情報に私含める5名ほどが狂喜しました。
「敵国の首都に直接転移できるようになった」
なかなか意味不明ですが、そのゲームには位置を記憶して直接ワープが可能になるアイテムが有り、単身敵国に乗り込んで位置を記憶してきたらしいです。
さあお祭りの始まり。確かパーティー単位で移動できたはずなので、数名が一緒に向かってそれぞれ位置を記憶、それを別の人にも繰り返す。ネズミ算方式で直接首都ワープを行い続けました。
しかもそのゲーム、敵国のプレイヤーには問答無用で攻撃可能。大虐殺です。
敵の首都へ飛んで即座に攻撃、相手も応戦してカオスな戦場が繰り広げられる。その内に相手もこちら側の首都に乗り込み始め、混迷の極みといった状況になりました。
ちなみに、別に倒しても旨味は無く、そもそも相手の首都に攻め入るメリットが存在しないので無価値な血の争いでしたね。
その後ですが、運営はワープアイテムの修正。
ついでに主要メンバーが2chに晒されました。
なお、私もかなり全チャで発言した上に色々と行動していたので晒されたかなと思いましたが、基本的にネットでは丁寧な口調が染み付いていたからか無事でした。
今は死語となった「ネチケット」。非常に重要な文化だと私は思いますが、なんで今は語られなくなったのか。とても残念です。
あとネトゲのチャット関連で思い出したのは、性別間違えられ。
上記の通り私は丁寧な口調でチャットしていて、それが常なので何の疑問も持ちませんでしたが、人によっては『女性が喋っているようにも見える』という事が発生。
何だかわからない内に女性扱いされ、今で言う『姫プ』をされていた事もありました。
音声通話が多い今は起こり辛い現象ですが、これも一つのネットならではの件ですね。
ネトゲから少し離れ、今度はプレイステーション3でのお話。
PS3のゲームでは、ゲーム内にはチャットがないものの、本体の機能として一緒にネットで遊んだ相手にメッセージを送る機能があります。
私が初めてもらったのは、ダークソウルというゲームを遊んでいた時。
別のプレイヤーの世界へと入った私に一通のメッセージが届きました。英語で。
チャットの世界もワールドワイド。そりゃあ日本人だけじゃないです。
なんとなく和訳して、「門の前で待ってる」みたいな文章だと思った私は言われた場所にホイホイ行きました。
結果、複数名に囲まれてフルボッコ。
「お、おまええええええええ!?」と、英語メッセージが初めてでテンパってた私は叫びましたね。
ダークソウルは倫理観が割と無法地帯なゲームでして、それからも多くのメッセージを受け取りました。9割は悪意に満ちたやつを。
今まで優しいチャットに触れていた私は闇落ちし――、
ということはなく、ネチケットとはなんぞや、という知見を得ましたね。
ネットの海は広大です。多くの人間がいます。
そう、人間がいるんです。
なんとなく、ただ画面上に存在する文章。流れている言葉。そういう風にも感じとれるのが、ネットの存在。けれど、中身がある。
最近では罵詈雑言、誹謗中傷、SNSを主に様々な悪意が飛び交うと話になります。
ある意味、それもネットに存在する『文学』でしょう。
数千年の人類の歴史、一般人が同時に相手をする人数というのは、精々がグループで会話をする数名程度。一度に数十、数百、それ以上の情報を処理するようには出来ていません。この2、30年で変わりすぎたのです。
ネットに散らばる文章は、紙の書籍と違って非常に多くの私見が含まれます。どちらが良いという取捨ではなく、どちらも良い。
ルネッサンス時代のような、文化の変遷。文章を基盤にする、文字への学び。
今、2021年に生まれるより、私は1995年に生まれて良かったです。時代の潮流、ネット文化の旺盛を肌で感じられるのは、今ではなくちょっと昔だと思いますから。
少々話がズレましたが、書きたいことは書けたのでここらで筆を置こうかなと。
ついでなので、ネット文学の遺産と呼ぶべきものを紹介して終わります。
http://regee.biz/owaranainatuyasumi/
こちら、1997~98年頃に個人サイトで執筆された小説です。
web小説の黎明期に生まれた作品ですので、『古典ネット文学』と言っても過言ではないでしょう。
元サイトは既に消えているので、有志のミラーサイトになります。
ただし、エロ、グロ、リョナのオンパレードですので、気分を害しても良い方のみ閲覧ください。18歳未満の方は絶対に駄目です。
なお、私は途中で諦めました。これは無理。
それでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
また次回も宜しくおねがいします。
霧涼アリカ
投稿:2021年8月8日
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